EXPLORATION / ARCHITECTURE ARCHIVE
都市を増殖させる「細胞」の記憶。
丹下健三とメタボリズムの結晶。
1967年竣工。直径約5.7メートルの円筒形コアに、オフィスユニットが「プラグイン」された特異なフォルム。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 静岡新聞・静岡放送東京支社 |
| 設計 | 丹下健三(都市・建築設計研究所) |
| 竣工年 | 1967年 |
| 構造形式 | 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) |
| 所在地 | 東京都中央区銀座8-3-7 |
都市を「樹木」として捉える思想
銀座の入り口、数寄屋橋交差点近くに佇むこの建築は、見る者に強烈な違和感と、それ以上の美しさを与える。中央に据えられた巨大な円筒形の「コア」は、都市のインフラ(エレベーター、配管、階段)を飲み込んだ巨大な幹だ。そこから跳ね出すように設置されたオフィスユニットは、さながら都市の細胞といえる。
「都市が成長に合わせて細胞を増殖させる」――1960年代、丹下健三らが提唱したメタボリズム(新陳代謝)の思想が、このコンクリートの塊には生々しく閉じ込められている。本来、必要に応じてユニットを追加・交換できるはずだったこの構造は、技術的・社会的な制約からその真価を発揮することはなかったが、その「可能性」の残影こそが、この建築の魅力だ。
片持ち梁(キャンチレバー)で支えられたオフィスボックス。構造の合理性がそのまま造形美となる。
質感のコントラスト:モノクロームに宿るリアリズム
ファインダーを通してこの建築を観察すると、コンクリートの荒々しい質感と、年月を経て鈍い光を放つ金属部とのコントラストに目を奪われる。雨風に晒され、渋みを増した表面は、かつて描かれた「輝かしい未来」が、今や確固たる「現実の歴史」へと変質したことを物語っている。
錆びた鋼材とコンクリートの肌。これらの質感をモノクロームで切り取ると、丹下が意図したであろう「空間の質量」がより鮮明に浮き彫りになる。色彩を排することで、この建築が持つ力学的な緊張感と、都市に対する挑発的な構えが、ダイレクトに伝わってくるのだ。
色彩を剥ぎ取ることで、コアの重厚感とユニットの浮遊感が強調される。
Concept & Affinity
静岡新聞・静岡放送東京支社が我々を惹きつけてやまないのは、それが単なる「古いビル」ではなく、「かつて夢見た未来のプロトタイプ」だからだ。効率性や経済合理性だけでは割り切れない、建築家の執念がこの特異なフォルムを成立させている。
Retro-Future Visual Labにとって、この場所はメタボリズムの思想が冷え固まったタイムカプセルだ。過去の巨匠が描いた「未完の未来」を、現代の視点から再解釈し、次の時代のクリエイションへと繋げていく。このコンクリートの幹から、我々は新しいインスピレーションの枝を伸ばし続けるだろう。
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